池田真市 子ども食堂基金|コラム

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大学生ボランティアが地域食堂を立ち上げ ― 若き力が地域の“もう一つの食卓”を育てる

大学生ボランティアが地域食堂を立ち上げ ― 若き力が地域の“もう一つの食卓”を育てる

大学生ボランティアが地域食堂を立ち上げ ― 若き力が地域の“もう一つの食卓”を育てる

著者:池田真市(子ども食堂基金 代表)

全国で、大学生が主体となって地域食堂を立ち上げる動きが広がっています。
学業の傍ら、地域の子どもや高齢者と向き合い、「誰もが安心して食事できる場」を自らの手で作り出す若者たち。
その原動力には、“社会とつながりたい”という純粋な思いと、世代を超えた支え合いを実現したいという願いがあります。

学生の想いが「行動」に変わる瞬間

コロナ禍を経て、社会との関わりを実感しづらいまま大学生活を送った学生が増えました。
そうした中で、「自分たちにできることをしたい」という想いから、地域活動に参加する若者が増加しています。
こども食堂や地域食堂は、そうした学生にとって、最も身近に社会課題を感じられる“行動の場”になりつつあります。

たとえば、京都や札幌、福岡など全国の大学で、学生たちが自主的に地域食堂を立ち上げ、地元企業やNPOと協力して運営を続けています。
ボランティアとして関わるだけでなく、「企画から資金集め、調理、広報まで」すべてを学生自身が担うケースも少なくありません。

地域とつながる新しい「学び」のかたち

こうした学生主導の取り組みは、単なる社会奉仕にとどまりません。
それは、“学びの延長線上にある実践の場”でもあります。

教育・福祉・経済・栄養など、大学で学ぶ知識を実際の現場に活かしながら、社会と向き合う。
「現場で学ぶ力」「協働する力」「自分で考えて動く力」――これらの経験は、教室では得られない貴重な成長の機会です。

また、学生にとってだけでなく、地域側にとっても大きな意義があります。
若い世代が地域活動に関わることで、閉じがちな地域社会に新しい風が吹き込み、世代を超えた交流が生まれる。
その循環が、地域全体の温かさを育てていくのです。

食堂立ち上げのステップと工夫

実際に大学生が地域食堂を立ち上げる際には、いくつかの重要なステップがあります。

  1. 目的の明確化
     「子どもに温かい食事を」「孤立する高齢者にも居場所を」など、誰のための食堂かを最初に定めます。

  2. 仲間づくり
     同じ志を持つ学生同士でチームを組み、役割を明確に分担します。調理、会計、広報、企画などの小さなチームが成功の鍵です。

  3. 場所の確保
     大学の空き教室、公民館、地域センターなどを活用。地域団体との協力で、初期費用を抑えた立ち上げが可能です。

  4. 食材調達と安全管理
     地元の飲食店やスーパー、フードバンクからの寄贈を受け、衛生管理マニュアルを整備。食の安全を守ります。

  5. 資金確保
     クラウドファンディング、大学の助成制度、企業協賛などを組み合わせて運営資金を確保します。

  6. 地域との信頼づくり
     地域の自治会・教育機関・保護者と連携し、「学生の活動」ではなく「地域の活動」として根づかせることが重要です。

    学生たちが生み出す“もう一つの絆”

    ある大学では、週に1度の地域食堂を開設し、子どもたちに食事を提供するだけでなく、一緒に宿題をしたり、遊んだりする時間も設けています。
    「最初は人見知りだった子が、今では『お姉ちゃんまた来た!』と笑顔で迎えてくれるようになった」――学生たちはそう語ります。

    また、地域の方々がボランティアとして加わることで、「学生が地域に育てられる」循環も生まれています。
    若者が地域を支え、地域が若者を育てる。
    この相互関係こそが、地域食堂の本質であり、未来につながる絆の原点です。

    継続のカギは“つながり”と“仕組み”

    学生主体の活動で最も課題となるのが、人手と資金の継続性です。
    卒業や就職による世代交代のタイミングで、活動が途絶えてしまうケースもあります。

    この課題を乗り越えるために大切なのは、「地域との協働」と「仕組み化」です。
    大学やNPOと正式に連携し、次の学生に引き継げる体制を整える。
    地域の飲食店や企業から定期的な食材支援を受ける。
    基金や寄付による安定的な支援モデルを取り入れることで、活動は持続可能になります。

    私の視点

    私は、こうした大学生ボランティアの姿に「未来への希望」を感じています。
    支援を“受ける側”だった若者が、支援を“届ける側”へと成長している。

    それは社会にとって何よりも大きな変化です。

    若い力が地域を動かし、世代を超えて温かい食卓を作る。
    この動きを一過性のブームで終わらせないためにも、行政や企業、基金が連携し、若者たちの挑戦を継続的に支える環境を整えることが求められます。

    彼らが作る小さな食卓が、未来の日本を照らす灯になっていく。
    そう信じています。

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