池田真市 子ども食堂基金|コラム

「あなたが笑顔でありますように」

このコラムは 池田真市 子ども食堂基金 が運営しています。

子ども食堂の存在は異常事態 ― 政治が果たすべき責任

このコラムは 池田真市 子ども食堂基金 が運営しています。

 

子ども食堂の存在は異常事態 ― 政治が果たすべき責任

子ども食堂の存在は異常事態 ― 政治が果たすべき責任

著者:池田真市(子ども食堂基金 代表)

子ども食堂があること自体がおかしい」

SNSでこんな言葉が広がっています。
子ども食堂があること自体がおかしい」「本来、国がやるべきことを民間が担っている」――。
確かにその通りです。

今や全世帯の6割が「生活が苦しい」と感じ、1997年以降、日本の実質賃金だけが先進国の中で下がり続けています。
所得の中央値は約145万円も低下し、非正規雇用は全労働者の4割にまで拡大しました。
つまり、社会の仕組みそのものが、子どもや家庭を支えきれなくなっているのです。

「支え合い」が限界を迎えている

この現実のなかで、地域のボランティアやNPOが、子どもたちの食卓を懸命に守っています。
炊き立てのごはんをよそい、子どもに「おかわりあるよ」と声をかける人たち。
その一つひとつの優しさが、今日の食卓を支えています。

しかし、善意だけで支えるには限界があります。
ボランティアの多くは仕事や家事の合間に活動し、資金も寄付や助成に頼る不安定な状態です。
行政の支援は限定的で、制度的なサポートが追いついていません。

子ども食堂は「社会の温もりの象徴」であると同時に、「制度が壊れている証拠」でもあります。
本来、家庭で安心して食事を取れる社会こそが健全な姿であり、
子ども食堂が必要とされる現実は、すでに異常事態だと言えるでしょう。

「あなたはもう頑張っている」

あるSNSの投稿に、こんな言葉がありました。

「あなたはもう頑張っている。頑張るべきは政治だ。」

多くの市民が、この言葉に深く共感しました。
地域のボランティア、寄付者、支援者――彼らはすでに全力で動いています。
それでも子どもの貧困率は上がり続け、物価も家賃も上昇し、家庭の負担は増える一方です。

いま求められているのは「寄付やボランティア任せの社会」ではなく、
政治が責任をもって「子ども食堂がいらない社会」を実現することです。
教育、雇用、住宅、所得再分配――。
あらゆる政策の軸に「子どもの暮らしを守る」視点を取り戻す必要があります。

政治が果たすべき責任

子ども食堂は、政治や制度の不備を補う“最後の砦”です。
困窮や孤立の現場を直接見ているからこそ、現場の声にはリアルな説得力があります。
行政や政治家が本気で子どもたちの未来を考えるなら、まずはこの現場の声に耳を傾けるべきです。

一時的な助成金やパフォーマンス的な政策ではなく、
生活の土台を整える「構造的な支援」を。
親が安定して働ける環境、教育格差を生まない仕組み、そして誰もが食卓を囲める社会の実現。
それが、政治が果たすべき責任です。

子ども食堂が不要になる未来へ

子ども食堂は決して悪いものではありません。
むしろ、地域の支え合いの象徴であり、多くの子どもに笑顔をもたらしています。
けれど、理想を言えば「子ども食堂がなくても子どもが幸せに暮らせる社会」こそ、本当に目指すべき未来です。

そのためには、政治が責任を果たし、市民と行政が手を取り合いながら制度を変えていくこと。
そして、いま現場で頑張っている人たちを「一時的な善意」で終わらせない仕組みをつくることが求められています。

子ども食堂は、社会の痛みを映す鏡です。
その存在を当たり前にするのではなく、「なくせる社会」を目指して動くこと。
それが、次の世代への最大の恩送りになるはずです。

―――――――――――――――
日本の子どもの 9人に1人が貧困状態です。
寄付が子ども食堂を支え、温かい食事と未来を届けます。
小さな支援でも、大きな力に変わります。

👉 今すぐ寄付する(Give One)
👉 子ども食堂基金について見る
―――――――――――――――

参考:
厚生労働省「毎月勤労統計調査」、OECD統計(実質賃金推移、2024年9月13日公表)

ikeda-fund.jp


© 2025 池田真市 子ども食堂基金