池田真市 子ども食堂基金|コラム

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国会の食堂と子ども食堂 ― 価格が映す「社会の距離」

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国会の食堂と子ども食堂 ― 価格が映す「社会の距離」

国会の食堂と子ども食堂 ― 価格が映す「社会の距離」

著者:池田真市(子ども食堂基金 代表)

国会の食堂が話題に

国会議事堂の食堂では、うな重が1,700円、定食が800円前後。
外食価格が1,000円を超えるのが当たり前の時代に、この価格は驚くほど低いと話題になりました。
写真に映るメニューを見た人々からは、
「今どきこんな値段で出せる食堂はない」「物価上昇を実感していないのでは」といった声もあがっています。

なぜ国の中枢にある食堂だけが、これほど低価格を維持できるのでしょうか。
光熱費や施設維持費の多くは税金で賄われており、
実質的には「補助された食事」といえます。

つまり、国会の食堂は「公的な支えのもとに成り立つ食堂」です。
議員や職員が安心して働けるよう、制度として守られているのです。

一方の「子ども食堂

その一方で、全国の子ども食堂はどうでしょうか。
こちらは寄付とボランティアで成り立っています。
限られた資金の中で食材をかき集め、時に自腹を切りながら、
地域の人々が子どもたちに温かいごはんを届けています。

一食あたりの原価を抑えようと工夫を重ね、
足りない食材は近所の農家や商店が無償で提供してくれる。
それでも光熱費や会場費の負担は重く、活動を続けることが難しい食堂も少なくありません。

国会の食堂が「支えられている食堂」なら、
子ども食堂は「支えている食堂」。
同じ「食事」を提供する場でも、背後にある構造はまるで逆です。

価格の差が映す「社会の構造」

この価格の差は、単なる数字の問題ではありません。
それは、「誰が守られ、誰が支えているのか」を映し出す社会の鏡です。

国の中心にいる人たちは、税金という制度のもとで守られた環境で食事をしています。
一方で、社会の土台を支える人たちは、自分の時間とお金を削って他者を支えている。
この構造のねじれこそが、いまの日本社会の「距離」を物語っています。

もし国が本当に「子どもを最優先」と掲げるなら、
政治の中枢で守られている仕組みを、子どもたちの食卓にも届けるべきです。
食のセーフティネットを「善意」ではなく「制度」として築くこと。
それこそが、政治が果たすべき本当の責任ではないでしょうか。

支える人を支える社会へ

子ども食堂の運営者たちは、決して特別なヒーローではありません。
地域の中で、誰かのために動こうとした普通の人たちです。
けれど、その“普通の人”の努力の上に、いまの日本の子ども支援が成り立っています。

政治の場で議論される「支援策」や「経済政策」が、
こうした現場の人々にどれだけ届いているでしょうか。
支える人を支えなければ、いずれ現場は限界を迎えます。

国会の食堂が安く提供できるのは、制度が整っているから。
ならば、子ども食堂にも同じように制度の後押しを。
それが「税金の正しい使い道」であり、社会の信頼を取り戻す一歩になるはずです。

「食」の支え合いを国の仕組みに

食べることは生きること。
その基本を「一部の善意」に委ねる社会であってはなりません。
国会の食堂が守られているように、子どもの食卓も守られる社会。
その実現が、「誰もが支えられる国」への第一歩です。

うな重1,700円の食堂と、寄付で支えられる子ども食堂
その差は、数字以上に重い現実を突きつけています。
子どもたちの食卓を、制度の光で照らす――その責任を、
私たちは政治に、そして社会全体に問いかけなければなりません。

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※この写真は過去にXで話題になった「国会食堂のメニュー」をもとにしています(出典:X)。現在のメニュー・価格を正確に反映しているわけではありません。

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