
全国に広がる「こども食堂」。
地域の温かな支援の輪によって、家庭の事情や孤食に悩む子どもたちを支える活動が続いてきました。
しかし今、物価高騰と寄付金減少という二重の逆風が、現場を直撃しています。
支援を必要とする子どもが増える一方で、運営を支える資金が足りない――。
その深刻な現状を伝える報道が相次いでいます。
物価高が直撃、続かない“善意”の現場
テレビ東京の取材によると、あるこども食堂では月1回150食を提供するための食材費が10万円を超え、光熱費や容器代を含めると運営は「ほぼ赤字」状態だといいます。
地元企業からの寄付が頼りですが、物価高の影響で企業の余裕も減り、支援額は年々減少傾向。
現場スタッフは「これ以上は続けられないかもしれない」と打ち明けています。
(参考:テレビ東京「こども食堂支援に広がる危機」2025年8月報道)
毎日新聞も、活動資金が減少し運営に行き詰まる食堂を紹介。
ボランティア代表は「子どもたちの笑顔を守りたいが、援助の限界を感じている」と語ります。
善意だけに頼る仕組みの限界が、各地で現実化しています。
(参考:毎日新聞 2025年10月9日)
寄付減少の背景にある“生活防衛”
寄付が減っている最大の要因は、支援者自身の生活防衛です。
NPO法人「Kids Future Passport」が実施した調査では、全国の子育て世帯の96.6%が食費の上昇を実感し、特に「米」「野菜」「肉類」の価格上昇を強く感じていると回答しました。
家計が厳しくなれば、当然ながら寄付や支援に回せる余力は減少します。
結果として、こども食堂の運営資金が細り、支援を待つ子どもたちにしわ寄せが及んでいるのです。
このように、物価高と寄付減少はそれぞれ独立した問題ではなく、連動して現場を圧迫しています。
食材費の高騰、光熱費の上昇、寄付者の減少――三重苦ともいえる状況が続いています。
支えを「仕組み」に変えるとき
こうした中で注目されているのが、「基金型の支援モデル」です。
一時的な寄付ではなく、継続的な助成と支援を行う仕組みを持つことで、子ども食堂の安定運営を支えることができます。
たとえば、全国のこども食堂を支援する「むすびえ・こども食堂基金」は、企業・個人からの寄付をプールし、年間を通じて運営費・備品購入・食材支援などを助成。
北九州市では「子どもの居場所づくり応援基金」を設立し、市民や企業の寄付金を基金化して、市内の食堂を継続的に支えています。
こうした基金モデルは、単発の寄付を“持続可能な力”に変える新しい形として広がりを見せています。
共助の文化が社会を変える
企業や自治体も、子ども支援を“CSR活動”や“地域貢献”として再定義し始めています。
スーパーやドラッグストアではレジ袋収益を基金に寄付したり、ふるさと納税を活用して子ども食堂を支援する動きも拡大中です。
こうした「日常の中で寄付ができる仕組み」が整うことで、寄付文化そのものが広がりつつあります。
同時に、食材ロスを防ぐフードバンクとの連携も重要な解決策です。
地域の企業や農家から余剰食品を受け取り、こども食堂に提供することで、コストを抑えながら支援を続けることが可能になります。
物価高の時代だからこそ、「もったいない」を「ありがとう」に変える発想が求められています。
今こそ、未来への投資を
私はこれまで、基金の仕組みを通じて全国のこども食堂の支援を見てきましたが、
この物価高と寄付減少の状況は、これまでにない危機です。
しかし、同時に「社会全体で支える文化をつくるチャンス」でもあります。
子ども食堂基金は、単なるお金の仕組みではありません。
そこには、“誰かを思いやる気持ち”を未来へ託す力があります。
支援の連鎖を絶やさないために、今こそ一人ひとりが小さなアクションを起こすときです。
その思いが集まれば、再び子どもたちの笑顔があふれる食卓を取り戻せるはずです。
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日本の子どもの 9人に1人が貧困状態です。
寄付が子ども食堂を支え、温かい食事と未来を届けます。
小さな支援でも、大きな力に変わります。
👉 今すぐ寄付する(Give One)
👉 子ども食堂基金について見る
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参考:
毎日新聞「物価高騰でこども食堂の運営厳しく」2025年10月9日
むすびえ・こども食堂基金(https://musubie.org)
北九州市「子どもの居場所づくり応援基金」(https://www.city.kitakyushu.lg.jp)