
全国の企業が、食品ロス削減と地域支援を両立する「フードドライブ」を本格的に全国展開し始めています。
家庭や企業で余った食品を集め、こども食堂やフードバンクに届けるこの仕組みが、いま新たな支援の輪を生み出しています。
単なるボランティアを超えて、日常の中で支援が循環する社会の仕組みへ――その動きを追います。
ファミマフードドライブが示した新しいモデル
2025年、株式会社ファミリーマートが展開する「ファミマフードドライブ」は、全国4,425店舗に回収ボックスを設置し、615団体と連携。
これまでに累計400トンを超える食品を寄贈し、企業主導の新しい社会貢献モデルとして注目されています。
(出典:ファミリーマート公式リリース 2025年4月23日)
さらに、同年10月にはコカ・コーラ ボトラーズジャパンとの協働により、余剰飲料を全国のこども食堂に寄贈。
企業同士の連携によって支援のスケールを拡大し、より多くの家庭や子どもたちに食品を届ける取り組みへと進化しました。
町田市ではスヌーピーとのコラボによる地域限定の展開も始まり、フードドライブが“企業CSR”を超えた地域共創のプラットフォームとして広がりを見せています。
背景にある「食の不安」と「支援の需要」
物価高と生活コストの上昇が続く中、食卓の不安を訴える家庭は増えています。
NPO法人の調査によれば、全国の子育て世帯の96.6%が食費の上昇を実感し、栄養バランスの取れた食事が難しいと答えた家庭も多数。
この状況が、こども食堂やフードバンクへのニーズを急速に押し上げています。
しかし、支援団体の多くはボランティアと寄付に頼る体制のため、運営資金や物資が不足し、十分に応えきれない現実があります。
そこで「企業が持つ物流・店舗・ネットワーク」を社会支援に活かす発想が生まれたのです。
フードドライブはまさに、余剰資源を社会の希望に変える仕組みとして再注目されています。
フードドライブがもたらす3つの効果
① 支援の裾野を広げる
コンビニやスーパーなど全国に拠点を持つ企業が回収窓口となることで、支援参加のハードルが大きく下がります。
「買い物のついでに寄付できる」仕組みが、人々の行動変容を生み、支援が日常化していきます。
② 食品ロス削減と環境貢献
日本では年間500万トン以上の食品ロスが発生しています。
その一部を支援に活用できれば、環境負荷の軽減と社会的価値の創出が同時に実現します。
廃棄コストの削減にもつながり、企業にとっても経済合理性のある社会貢献です。
③ 地域コミュニティの再生
企業・自治体・NPOが連携して支援を行うことで、地域の人と人のつながりが生まれます。
食を通じた交流や共感が、孤立を防ぎ、支え合う地域文化を育てるきっかけになります。
成功のために必要な仕組み
フードドライブの拡大には、いくつかの課題もあります。
まず、食品の品質管理と衛生基準。
受け入れ可能な食品(未開封・常温保存・賞味期限2か月以上など)の明確化と、検品体制の整備が不可欠です。
次に、物流とコスト負担の問題。
輸送・保管・分配にはコストがかかるため、ヤマト運輸など物流企業との提携や自治体支援による効率化が求められます。
宮城県では、地元テレビ局と物流企業が連携して「地域一体型フードドライブ実証実験」を開始するなど、新たなモデルづくりが進んでいます。
そして何より大切なのは、継続性と透明性です。
寄贈量・分配先・成果を定期的に公開し、参加者に「見える支援」を届けることで、信頼と共感を高めることができます。
“支援を仕組みに”変える企業の力
私は子ども食堂基金の活動を通じて、多くの現場を見てきました。
そこには、物資が足りずに運営を断念する団体、食材を買えずに開催頻度を減らす食堂もあります。
だからこそ、企業がフードドライブを全国規模で仕組み化する意義は大きい。
善意を一過性の寄付で終わらせず、社会のインフラとして支援を回す構造をつくること。
それが、今の日本に必要な「支援のかたち」だと感じています。
企業がもつ物流力・ブランド力・発信力が、子どもたちの食卓を支える時代へ。
その輪が広がれば、子どもたちの笑顔はきっと増えていくはずです。
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日本の子どもの 9人に1人が貧困状態です。
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参考:
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ファミリーマート「ファミマフードドライブ」公式リリース(2025年4月・10月)
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宮城県「地域フードドライブ実証実験」(2025年)