
政府が検討を進める「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」――
性犯罪歴のある人が子どもと関わる仕事や活動に就くことを防ぐ制度。
その「中間とりまとめ」案が9月、正式に公表されました。
注目すべきは、この制度の対象範囲に子ども食堂や学習支援、芸能事務所などが含まれた点です。
子どもを守る安全網が、教育や保育を超えて、地域のあらゆる活動へと広がろうとしています。
「日本版DBS」とは何か
DBSとは、もともと英国で導入された制度で、
教育・保育・医療・ボランティアなどの現場で働く人の「性犯罪歴」を確認し、
子どもへの加害を未然に防ぐ仕組みです。
日本でも、保育園や学校などでの事件を背景に、
「安全確認を仕組みとして行う必要がある」という声が高まりました。
これまで“信頼”や“善意”に頼ってきた子ども支援の現場に、
制度としての安全保障を加える動きが始まったのです。
子ども食堂が対象に ― “支援”と“安全”の両立へ
今回の中間とりまとめ案では、
教育機関や保育所だけでなく、
子ども食堂・学習支援・ボランティア団体なども対象に含まれています。
これは、全国で1万を超える子ども食堂が「地域の教育・福祉の場」として定着している現状を踏まえたものです。
食事を提供するだけでなく、子どもたちが安心して過ごす“居場所”となっている以上、
安全の確保は不可欠です。
多くの子ども食堂は地域ボランティアで運営されており、
顔見知りの大人たちが支えています。
その温かさが魅力である一方、
「参加者の確認」「スタッフ登録の明確化」といった仕組みが十分でないケースもあります。
DBSの導入は、こうした現場に安心と信頼の基盤を作る一歩になるのです。
「疑うための制度」ではなく「守るための仕組み」
一部では、「ボランティアにまで犯罪歴照会を義務化するのか」という懸念もあります。
しかし、本来の目的は“疑うこと”ではありません。
DBSは、子どもや保護者、そして支援する側が安心して関われる仕組みをつくるもの。
むしろ、信頼関係を制度的に支えることで、支援活動が持続しやすくなります。
子どもを守る環境を整えることは、
現場を守ることでもある――。
その理念をどう伝えるかが、これからの大きな課題です。
安全対策と現場の“柔らかさ”の両立
制度の整備が進む中で大切なのは、
子ども食堂が持つ“地域の柔らかさ”を失わないことです。
「誰でも来ていい」「一緒に食べよう」
その自由さや包容力が、子ども食堂の原点です。
だからこそ、形式だけのチェックリストではなく、
**地域で支える“安全文化”**をどう育てるかが問われています。
たとえば、
・初めて関わるボランティアへの簡単な研修
・参加者同士での情報共有
・行政や基金による安全管理支援
こうした小さな取り組みの積み重ねが、制度の有効性を高めます。
子どもを守る責任は、社会全体で
性犯罪を防ぐ仕組みは、法律や制度だけで完結しません。
「子どもを守るのは、社会の責任」という意識が不可欠です。
家庭、学校、地域、企業、行政――。
それぞれの立場で、子どもに関わるすべての大人が安全への意識を共有する。
それが、真の“防止”につながります。
子ども食堂基金としても、今後は安全に関する研修や運営ガイドライン支援など、
現場を支える新しい取り組みを検討しています。
安心できる居場所は「信頼」でできている
子どもたちにとっての安心とは、
安全が確保された空間であり、
大人たちの信頼で支えられた関係です。
その両方が揃って、はじめて“居場所”になります。
制度が整うことはスタートラインにすぎません。
子どもたちが「ここは安心できる」と心から感じられる環境を、
私たち一人ひとりがつくっていく必要があります。
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日本の子どもの 9人に1人が貧困状態です。
寄付が子ども食堂を支え、温かい食事と未来を届けます。
小さな支援でも、大きな力に変わります。
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参考:
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読売新聞「性犯罪防ぐ日本版DBS『中間とりまとめ』案、子ども食堂なども対象に」(2025年9月12日)
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内閣府「日本版DBS検討会資料」(2025年9月)
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認定NPO法人むすびえ「子どもの安全と居場所に関する意見書」(2025年)